フォーカルセラピーは、治療が必要な部分だけを局所的に治療する新しい方法です。治療方法はさまざまありますが、代表的なものが「マイクロ波熱凝固治療」です。電子レンジと同じ仕組みを応用した技術で、マイクロ波を用いてねらった部分だけを高温にすることでがん組織を死滅させます。前立腺は射精に関連する臓器であり、また勃起を調整する神経が前立腺に接して走っているため、前立腺全体と周辺に影響が及ぶ治療では射精機能や勃起機能が失われる合併症の危険性があります。また、前立腺の下には尿漏れを防ぐ尿道括約筋もあり、尿漏れなどの排尿障害をきたす危険性もあります。フォーカルセラピーは病巣部分だけを治療することが可能なため、こうした合併症を最小限にとどめ、性機能等の治療前の機能を温存することで「生活の質」をできる限り維持することを目指します。
特徴1
2泊3日の治療なので、手術期間と入院期間が短い
特徴2
病巣部分だけの治療が可能で身体への負担を軽減できる
特徴3
尿失禁や勃起障害などの合併症のリスクが低い
治療法
1.マイクロ波熱凝固治療
治療方法はさまざまありますが、代表的なものが「マイクロ波熱凝固治療」です。
電子レンジと同じ仕組みを応用した技術で、マイクロ波を用いてねらった部分だけを高温にすることでがん組織を死滅させます。
マイクロ波による凝固療法は、肝臓がんや子宮内膜症に対する治療として保険収載されています(K697-2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法、K863-3 子宮鏡下子宮内膜焼灼術)。当院で行う前立腺がんに対するマイクロ波凝固療法は、令和4年1月現在では保険未承認であり自由診療対象ですが、今後の保険適用拡大を目指して臨床研究開発中の治療法です。
2.凍結治療
前立腺内の癌病巣だけを治療標的とし、健全な前立腺及び周囲の神経・筋の機能不全(性機能障害・尿失禁)を回避する新技術零下40度の低温化で悪性の高い癌細胞を正確に制御可能。


治療範囲

前立腺全体ではなく、
癌とその周囲(青の丸)のみを治療します。
※治療対象外となるもの

従来の無作為採取法との比較
臨床的意義のある病巣の有無が正確に判定され、組織採取が可能
無作為採取法イメージ

超音波診断機だけではよほど大きな癌でなければ見ることはできず、多くの場合、前立腺の位置と生検針しか確認することができませんでした。
こうしたがんの疑われる部位を正確に事前予測できない中、前立腺全体にまんべんなく複数個所生検針を刺し組織を採取して診断するのが従来型の無作為採取法である。
※引用:きつかわクリニック
https://kitsukawa-clinic.jp/health_inf/examination-treatment/prostate_biopsy/overview.html
前立腺の3次元モデル

アルタイムで針の位置が表示される。狙った位置に針が刺されているか確認できる。
※引用:浮村先生の動画

※参考:京都医療センター
https://kyoto.hosp.go.jp/html/guide/medicalinfo/urology/description.html
フォーカルセラピーが選択される病期

